A Choral Suite "Umi'ngame-no Uta (Sea Turtle Songs)"

 for Children's Chorus, Mixed Chorus, and Piano

合唱組曲「ウミガメの唄」

 児童合唱と混声合唱(ピアノ伴奏)

Text and Music by Kentaro Sato (Ken-P)

作詞・作曲 佐藤賢太郎(Ken-P)

Children's and Mixed Chorus ver. SA and SATB (児童・混声版)

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 1. 白い希望 [Shiroi Kibō (White Hopes)]

 2. 夜空のつぶやき [Yozora-no Tsubuyaki (Whispers of the Night Sky)]

 3. 月夜の旅立ち [Tsukiyo-no Tabida'chi (Departure in the Moonlit Night)]

 4. 白い奇跡 [Shiroi Kiseki (White Miracle)]

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 All Movements(全楽章)

Text/歌詞

日本語詩 / Japanese Lyrics

1. 白い希望

春の静かな夜
波の間をぬって
私はふるさとを目指す
星の光の中
揺らめく波に想う
私の砂浜を
私のふるさとを

春の静かな夜
波をかきわけ
私はふるさとに帰ってきた
星の光の中
しめった砂に想う
私の砂浜の
懐かしい匂いを

砂をかきわけ
私はふるさとに残す
未来へとつながる私の願いを

温かな砂に包まれた
私の白い希望
まだ 小さな明日を
私はふるさとに託す

春の静かな夜に
未来を想う

 

2. 夜空のつぶやき

地上の瞳は 私を見上げ
夜のきらめきの中に
何を見るのだろう?

それは 恐れだろうか?
安らぎだろうか?
遠くの光の中に
何を見るのだろう?

私は見る
地上に輝く
命というきらめきの中に
希望を

 

3. 月夜の旅立ち

マンゲツダ!
トキハキタ!
イマダ!

砂をかきわけ
地上を目指せ

月の光が溢れる世界へと
旅は始まった
白い殻をぬぎすて
さあ 出発だ

砂のうねりをこえて
そして 海をめざせ

だが 気をつけろ
困難も始まったのだ

鳥につつかれても
ニゲロ! ミギ!ミギ!ヒダリ!
ひっくり返っても
タイヘンダ! オキロ!
波にもまれても
マケルナ! ガンバレ!
海原を
無限の世界をめざせ!

トキハキタ! イマダ!
白い殻をぬぎすて
さあ 出発だ!
さあ 満月の光が溢れる世界へと
旅は始まった

 

4. 白い奇跡

朝日が昇る海岸に
無数に残る小さな足跡
ああ 何千もの命が
かけぬけていったのだ…

あさひがのぼる かいがんで
まえをいく せなかを おいかけた
わたしのくつが すっぽりはいる
あしあとを たどっていたら…
突然
「あ! あれをみて!」
喜びの声!

私を風のように追い抜いた
「ほら! これをみて!」
嬉しそうに振り向いた手の中に
明日に進んだ 白い奇跡の跡

「まっしろだね」
「そうだね」
「たくさんあるね」
「そうだね」
「ねぇ いま なにをしてるのかな」
「きっと 元気に泳いでいるよ」
「またいつか ここにかえってくるのかな」
「そうだといいね」

波打ちぎわに走りより
海を見つめる 君の眼差し
まだ小さな背中は
朝日の中で眩しい

「眩しいね」
「そうだね」
振り返る笑顔は
私の輝く白い奇跡

「またこようね」
「そうだね」
朝日が昇る海岸に…


English Translation / 英語訳

1. White Hopes

In the silence of the spring night,
threading through the waves,
I head to my birthplace.
In the light of the stars,
I wonder.
I wonder about my beach,
my dear birthplace.

In the silence of the spring night,
pushing through the waves,
I return to my birthplace.
In the light of the stars,
I treasure the wet sand,
and the scent of
my dearest beach.

Pushing away the sand,
in my birthplace, I leave my wishes;
the wishes connected to the future.

Wrapped with warm sand
are my white hopes.
I entrust these still tiny tomorrows
to my birthplace.

In the silence of the spring night,
I wonder about the future.

 

2. Whispers of the Night Sky

I wonder
what eyes on earth, looking up to me, see
in my glitters of the night.

Would they be afraid?
Or would they be comforted?
I wonder what they see
in the distant lights on me?

I see.
In the glitters on the earth
called life,
I see hopes.

 

3. Departure in the Moonlit Night

It is a full moon!
The time has come!
Now!

Push away the sand,
and climb up to the surface!

To the world full of moonlight,
Our journey has begun!
Throw away the white shells,
and let’s depart now!

Go beyond the swells of the sand,
and head to the ocean!

But beware!
The hardships of life have begun too.

Even if the birds attack,
Avoid! Right! Right! Left!
Even if we are turned upside down,
Oh, No! Get up!
Even if the waves swirl us,
Don’t lose! Go for it!
To the ocean!
Head to the unlimited world!

The time has come! Now!
Throw away the white shells,
and let’s depart now!
To the world of the light of the full moon,
our journey has begun!

 

4. White Miracle

On the beach in the sunrise,
there are countless small footprints.
Ah, thousands of lives
have crossed through here...

At the beach in the sunrise,
I follow your figure from behind.
Oh, my shoes are really smaller
than your footprints...
Suddenly,
“Ah! Look!”
A joyous cry!

You pass me like a wind.
“There! Look at this!”
You turn back, and in your hands
there is a white leftover of the miracle gone to tomorrow.

“It is so white.”
“Yes, it is.”
“There are so many.”
“Yes, there are.”
“I wonder what they are doing now.”
“I am sure they are swimming happily.”
“Would they come back here someday?”
“I sure hope so.”

You run to the seashore,
and gaze to the ocean.
Your figure is small,
but bright in the sunrise.

“It is so bright.”
“Yes, it is.”
Your smile is
my bright white miracle.

“Let’s come back here again.”
“Yes, let’s.”
Let’s return to this beach in sunrise again...


Program Note (JPN Only) / プログラムノート

「ウミガメの唄」によせて (初演時のプログラムノートより)

 2010年12月。その年、兵庫県で行われた全日本合唱コンクール全国大会の打ち上げ会場でお会いしたウイステリア・コールの猿渡さんから、合唱曲の委嘱依頼の電子メールが届きました。内容を簡単にまとめると、以下のようなものでした。①15分から20分程度の児童合唱を伴った混声合唱組曲の作曲の委嘱。②伴奏はピアノ。無伴奏の楽章も欲しい。③テーマは「未来を担う子供たちに、平和で争いのない心豊かな世界を託したい」④テキストはミサ等か、私が作詞や補作してよい。⑤最終曲に7-8分程度の児童合唱をフィーチャーした「平和の賛歌」ともいうべき感動的な混声合唱曲を入れる(全日本合唱コンクールの自由曲とする)。⑥締め切りは、2012年1月末。

  すぐ「了解しました!歌詞は自作します!」という返信メールをおくり、「締め切りまで余裕があるからじっくり考えよう」と構想を頭の片隅で練り始めていた2011年3月11日、東日本大震災が起きました。そこから、その年の福島での全国高等学校総合文化祭の開会式の音楽制作、カワイ出版が企画した歌おうNIPPONプロジェクト、その他の急な仕事や、ボランティア活動を怒涛のようにこなしながらも、この委嘱のことを考えていました。ですが「児童合唱と混声合唱が一緒に歌う必然性のある詩、コンクールの自由曲としてもメリハリや効果がある曲の制作」ということに思った以上に悩みながら、詩のアイデアを出してはボツにする日々が続きました。

  ひらめきが起こったのは、締め切りも迫った2012年の初め、私が音楽を担当することになっていた私の地元・静岡県浜松市で行われる市民ミュージカルの脚本を読んだときでした。その作品には、ウミガメの産卵場を暴走族から守る老忍者やその孫達が活躍するコミカルな場面があります。「ウミガメの出産や、それを見守る人間の家族といったように、物語を練りこめば、児童と混声合唱が自然に登場する詩や曲が書けるのではないか?」

 締め切りは残り1ヶ月。その時点までにほぼ完成していた3つの詩を捨てて、作詞と作曲を開始し、締め切り当日2012年1月31日に完成・提出をしました。

 本楽曲「ウミガメの唄」は、児童合唱と混声合唱のための四楽章構成のピアノ伴奏付き合唱組曲です。第一楽章「白い希望」は、ゆったりとした波のようなピアノ伴奏や、遠くで響く児童合唱にのせて、混声合唱が故郷の砂浜を目指すウミガメの気持ちを歌います。第二楽章「夜空のつぶやき」は、「私たちが夜空をみつめる」のとは逆、「夜空が地上をみつめる」という視点から、混声合唱が無伴奏で静かに語ります。第三楽章「月夜の旅立ち」は、卵からかえったウミガメの赤ちゃんの旅立ちの様子や気持ちを、児童合唱が混声合唱に支えられながら元気に歌い上げます。第四楽章「白い奇跡」は、旅立ちの後、早朝の海岸を歩く人間の親子の会話を、児童合唱と混声合唱が優しく歌います。また、続けて演奏される第三・四楽章がコンクールの自由曲用の楽曲となっています。 アンジェルス児童合唱団と大分市民合唱団ウイステリア・コールが表情豊かに奏でる物語を是非お楽しみください。

about the Commission and the Premiere

 This work was commissioned by the Oita Citizen's Choir "Wisteria Chor" and premiered by Wisteria Chor and Angeles Children's Chorale in Oita, Japan on 6/3, 2012

委嘱・初演に関して

 この楽曲は大分市民合唱団ウイステリア・コールによる委嘱作品で、同団およびアンジェルス児童合唱団により2012年6月3日に初演が行われました。